暴動 (There's a Riot Goin' On)
2024-02-12 2024-02-13スライ&ザ・ファミリー・ストーン 「暴動」 エピック・レコード
スライ & ザ・ファミリー・ストーンの名盤で、不穏な雰囲気がアルバム全体を覆っている。暗い曲が多いわけではなく、むしろポップなものが多い気もするのだけども、そういったものも音づくりは密室的で濃密、ぬぐいきれない憂鬱さがある。ホラー映画の序盤のような、いやなことが起きる予感だけがあるのだ。
それもそのはずというべきか、このアルバムは麻薬に溺れて、バンドメンバーとの関係も悪化したスライがほとんどひとりで制作したものらしい。
全曲をとおしてリズムセクションの音づくりが特徴的で、中でも「Family Affair」などではチープなリズムボックスと、ゴムのようなベースの絡み合いが聴ける。
このベースのローが抜け落ちたような音づくり、どうやったらこうなるのだろうか。スコップで地面を掘っているような音である。
アルバムのタイトル「There’s a Riot Goin’ On」は、このアルバムの 6 ヶ月前に発表されたマーヴィン・ゲイ「What’s going on 」 への回答らしい。おりしも 1971 年、ブラックパワー運動は最盛期をむかえていた。
天才がひとりスタジオで、自分の心身をすりつぶすようにして作ったアルバムには固有の息苦しい魅力がある。ビーチボーイズの「Pet Sounds」にも似たようなことを思う。狙って作れるものではないのだろうけど、そういうアルバムを聴くのはすきだ。
# music # funk