毒薬の手帖
2024-02-09 2024-02-10澁澤龍彦 「毒薬の手帖」 河出書房新社
いささか奇矯な言辞を弄すれば、文化の洗練と殺人の洗練とは、おそらく、いつの時代にも並行して達成されるのであろう。1
高校生のころ、上に引用した一文を目にして衝撃をうけた。この主張が常にただしいわけではないのだが、文体のよさによって事実そうであるような気がしてくる。 これはボルジア家を評して、彼らが政敵を毒殺すると噂されている一方で、ルネサンス文化の庇護者でもあったことを指して言ったものである。
澁澤龍彦はキュレーションの魅力を教えてくれる。膨大な引用に彩られた彼の著作を読むのはいつでもたのしい。
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澁澤龍彦「毒薬の手帖」河出書房新社、p84 ↩